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競合調査は「真似する」ためではない ── 30分で自分の見落としを見つける

新しいメニューを始めたい。そう思って、似たことをしている店を調べます。ホームページを開き、価格を見て、内容を見て……10軒ほど見たところで、こう感じます。

「どこも同じに見える」

そして結局、「うちも同じくらいの価格で、同じような内容で」と落ち着く。これは、調べ方が悪いのではありません。探しているものが違うのです。この記事では、30分でできる調べ方を説明します。

この記事で分かること

  1. 公開情報を「答え」ではなく「見落とし」を探す道具にする考え方
  2. 競合は同業だけではない、という視点(公的機関の資料より)
  3. 30分で見る、7つの項目
  4. ChatGPTに整理させるときの条件
花店のカウンター。手描きの空白の比較表とペン、短時間用のタイマー、奥にノートPCと花材
全国規模の調査は要りません。表を1枚と、30分だけ

01調べたのに、どこも同じに見える

「どこも同じに見える」とき、たいてい探しているのは答えです。正解の価格、正解の内容、正解のやり方。それを見つけて、自分の店に当てはめようとしています。

でも、公開されている情報から答えは出てきません。他店が公開しているのは結果だけで、なぜそうしたかは書かれていないからです。だから、同じに見えます。

02探すのは「答え」ではなく「見落とし」

見方を反転させます。他店を見るのは、自分が考えていなかった観点を拾うためです。

  • 「対象を初心者に絞っている店がある」── うちは誰向けか決めていなかった
  • 「1回90分の店と、45分の店がある」── うちは時間を考えていなかった
  • 「持ち物を全部そろえてくれる店がある」── うちは何を用意するか曖昧だった

これらは真似する材料ではありません。自分の企画の穴です。1つ見つかれば、その30分は十分に元が取れています。

03競合は、同業だけではない

ここがいちばん大事なところです。そして、いちばん見落とされます。

アメリカの中小企業庁(SBA)が公開している市場調査の案内には、競合分析で考えるべき要素として「成功に影響しうる、間接的または二次的な競合」が挙げられています。さらに、こうも書かれています。[1]

「複数の異なる業種が、あなたが狙っているのと同じ市場に向けて競争していることがある」(SBA・筆者訳)

花の教室を例にします。お客様の困りごとが「家に花を飾りたい」なら、その解決方法は教室だけではありません。

木のテーブルに4つの選択肢が等間隔に並ぶ。花材とリボンとはさみ、ラッピング済みの花束、宅配用の箱に入った花、無地のリーフレットと1輪
同じ困りごとに、まったく違う解決方法が並んでいます
  • 動画を見て、自分で作る
  • 完成した花束を買う
  • 大型店の体験会へ行く
  • 自宅へ届くキットを使う

どれも花店ではありませんが、お客様の時間と予算を取り合っています。同業だけを10軒見ても、この4つは視界に入りません。「どこも同じに見える」のは、同じ枠の中しか見ていないからです。

SBAの設問も、実はこの前提で書かれています。市場をつかむ問いとして挙げられているのは、「すでに消費者が利用できる”似た選択肢”はどれだけあるか」(市場の飽和度)と、「見込み客はそれらの”代替手段”にいくら払っているか」(価格)です。[1] どちらも、主語が「同業他店」ではありません。

0430分で見る、7つの項目

小さな店が、全国規模の市場調査をする必要はありません。次の7つを、30分だけ見ます。

見る項目 拾いたい見落とし
商圏内に、似たものがあるか そもそも近くに選択肢があるか
対象は初心者か、経験者か 誰向けかを決めていなかった
1回の時間と人数 規模と所要時間の相場感
価格と、料金に含まれるもの 「含まれるもの」の差が実は大きい
開催曜日と予約方法 予約のしやすさで選ばれている可能性
評価されている点、不満に感じられている点 公開されている声から見える期待
同じ困りごとを解決する、別の方法 いちばん見落としやすい。必ず入れる

最後の1行を必ず入れてください。ここが、この調べ方の要です。

05公開情報だけで終わらせない

SBAの案内は、公開情報の限界にも触れています。既存の情報源は時間と労力を大きく節約できる一方で、「自分の狙う相手にとって、望むほど具体的ではないかもしれない」としています。一般的で、数で表せる問いに使うのがよい、という整理です。[1]

そのうえで、直接調べる方法としてアンケート・質問票・グループインタビュー・個別の聞き取りを挙げ、直接聞くと分かることの例に「お客様が、あなたの店の代わりにどこへ行くか」を含めています。[1]

つまり、代替手段は、店頭で直接聞くのがいちばん早いということです。「これまではどうされていましたか」と一言聞くだけで、公開情報からは見えない答えが返ってきます。

SBAは米国の公的機関で、この資料も米国の事業者向けです。日本の制度や商習慣をそのまま示すものではないため、考え方の枠組みとして受け取ってください(2026年7月24日確認)。

06ChatGPTには「推測させず、出典を残させる」

集めた情報をChatGPTに整理してもらいます。ここでの条件は1つ、書いていないことを埋めさせないことです。

コピーして使えます

以下は、私が公式サイトや公開ページで自分の目で確認した情報です。
これを比較表に整理してください。

【守ってほしいこと】
・記載のない情報を、推測で埋めないでください
・分からない項目は「記載なし」と書いてください
・私が貼っていない店やサービスを追加しないでください
・出典URLと、私が確認した日をそのまま残してください
・どちらが優れているかの評価はしないでください

【比較する項目】
・誰向けか
・1回の時間と人数
・価格と、料金に含まれるもの
・予約方法
・同じ困りごとを解決する「別の方法」に当たるかどうか

【確認した情報】
[店名・サービス名/確認したURL/確認日/分かったこと]
[以下、調べたぶんだけ貼る]

最後に、私が調べていない観点があれば指摘してください。

最後の1行が効きます。「調べていない観点」を挙げてもらうのが、まさに見落とし探しだからです。

なお、ChatGPTに検索させて集めた情報をそのまま使わないでください。出典リンクが付いていても、元のページを開いて確かめる必要があります。理由はこちらの記事にまとめました。

07まとめ ── 見落としが1つ見つかれば、それで十分

  • 答えを探さない ── 公開情報に答えは書かれていない
  • 探すのは自分の見落とし ── 1つ見つかれば30分の元は取れる
  • 競合は同業だけではない ── 複数の業種が同じ市場を奪い合っている
  • 7項目を30分で ── 最後の「別の方法」を必ず入れる
  • 代替手段は店頭で聞く ── 「これまではどうされていましたか」

企画そのものの作り方は一枚企画書の記事、出したあとの反応の見方は興味と行動を分けて数える記事にまとめています。また、差別化のために大手を調べる話は選ばれる理由の記事にあります。あちらは「戦わない場所を探す」ため、この記事は「企画の穴を見つける」ためです。

今週やることは1つです。タイマーを30分にセットして、最後の項目「同じ困りごとを解決する、別の方法」だけでも書き出してみてください。それだけで、企画の形が変わります。

[1] U.S. Small Business Administration「Market research and competitive analysis」(2026年7月24日確認)。市場をつかむための問いとして、需要(Demand)、市場規模(Market size)、経済指標、立地(Location)、市場の飽和度(Market saturation:すでに消費者が利用できる似た選択肢はどれだけあるか)、価格(Pricing:見込み客はそれらの代替手段にいくら払っているか)を挙げている。競合分析においては、強みと弱み、市場に参入する機会の窓、競合にとっての標的市場の重要性、参入の障壁とともに「成功に影響しうる間接的または二次的な競合(Indirect or secondary competitors who may impact your success)」を考慮すべき要素として示し、「複数の異なる業種が、狙っている同じ市場に向けて競争していることがある」と説明している。また市場調査は既存の情報源を使う方法と直接消費者に当たる方法があり、既存の情報源は時間と労力を節約できるが自分の対象にとって望むほど具体的ではない場合があるとし、直接調べる方法としてアンケート、質問票、グループインタビュー、個別の聞き取りを挙げ、直接調査で分かることの例に「お客様が自店の代わりにどこへ行くか」を含めている。米国の公的機関による米国事業者向けの資料であり、日本の制度や商習慣をそのまま示すものではない。https://www.sba.gov/business-guide/plan-your-business/market-research-competitive-analysis

甲斐ショウジ

この記事を書いた人

甲斐ショウジ株式会社GMJ 代表取締役CTO兼CAIO

20年超のIT事業経験とGoogle関連事業での実績を基に、多数のAIシステムの開発を主導。AIとMEOで、小さなお店・中小企業の経営を強くする実践情報を発信しています。

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