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お店のChatGPTの始め方 ── 30分で「店の相談相手」を用意する手順

ChatGPT(対話型のAIサービス)に「売上を上げる方法を教えて」と聞いて、教科書みたいな一般論が返ってきて閉じた——そんな経験はありませんか。

うまくいかなかった原因は、あなたの質問が下手だからではありません。ChatGPTが、あなたの店のことを何も知らないからです。

この記事で分かること

  1. ChatGPTを入れて動かすまでの、10分の準備(無料でOK)
  2. 答えの質を一変させる「店の基本カード」の作り方
  3. 最初の相談で使う質問文(コピペ可)
  4. 入力してはいけない情報の見分け方

全部で30分。終わるころには、一般論しか言わないAIが「店の事情を知っている相談相手」に変わります。

美容室のセット面の前で、スマートフォンを手にする店主の手元
空き時間の10分から始められる。特別な機械も知識も要らない

01一般論しか返ってこないのは、店を知らないから

人間の相談相手を思い浮かべてください。初めて会った人に、店の説明を何もせず「どうすればいいですか」と聞けば、一般的な答えしか返ってきません。反対に、店の状況、困っていること、やりたくないことを話せば、相談は急に具体的になります。

ChatGPTも同じです。住宅街の一人美容室なのか、駅前の大型サロンなのか。値引きしてでも新規を増やしたいのか、値引きせず空き時間を埋めたいのか。同じ「美容室の集客」でも、店によって打つ手は変わります

情報を渡さずに聞くと… 「売上を上げたい」 SNSを活用しましょう。キャンペーンを行いましょう。 顧客満足度を高めましょう。(どの店にも言える一般論) 店の基本カードを渡して聞くと… 店の基本カード 一人美容室・住宅街 値引きしたくない 火曜・水曜14〜17時の空きに合わせて、 「静かな平日午後の相談枠」をGoogleマップで告知しては? (自分の店のための答え)
同じ質問でも、店の情報があるかどうかで答えは別物になる

つまり最初にやるべきは、上手な質問を覚えることではなく、店のことを一度だけまとめて伝えること。それがこの記事の中心、「店の基本カード」です。

02準備は10分 ── アプリを入れて、無料で始める

まだChatGPTを入れていない方は、ここから。すでに使っている方は次の章へ進んでください。

  1. iPhoneなら「App Store」、Androidなら「Google Play」を開き、「ChatGPT」と検索
  2. 提供元が「OpenAI」のアプリを選んで入手(似た名前のアプリに注意)
  3. メールアドレスか、普段使っているGoogle/Appleのアカウントで無料登録
  4. 画面下の入力欄に日本語で話しかけ、紙飛行機マークで送信——使い方はこれだけ

パソコンならアプリ不要で、ブラウザから「chatgpt.com」を開けば同じ画面が出ます。料金は無料で始められます。本記事の内容はすべて無料版で試せるので、有料プランの検討は使い込んでからで十分です。

タイピングが苦手なら、入力欄のマイクのマークを押して話しかければ文字になります。閉店後のレジ横で、スマホに向かって店の悩みを話す。それで相談が始まります。

「いまさら始めても遅いのでは」と思う方へ。中小機構が全国の中小企業に行った2026年3月の調査では、AIの導入率はまだ20.4%。そして導入した企業が使っているAIは82.6%が生成AI(ChatGPTのような文章対話型)です。[1] 遅れているどころか、今始めれば前の2割に入れます。始めた企業の入り口も、ほぼ同じ道具です。

03悩みを一つ、「今週サイズ」に小さくする

準備ができたら、いきなり「経営を良くしたい」と入力したくなりますが、最初の相談は一つだけ、小さく絞ります。選ぶ基準は「解決したら、今週少し助かること」。

コピーして使えます

大きな悩み:売上を上げたい
 → 今週の悩み:平日14時から17時の来店を、1日2組増やしたい

大きな悩み:集客を改善したい
 → 今週の悩み:Googleマップを見た人に、初めてでも入りやすい店だと伝えたい

大きな悩み:人手不足
 → 今週の悩み:新人へ毎回説明している開店作業を、チェックリストにしたい

小さくしきれないときは、そのままChatGPTに「この悩みを、7日以内に試せる大きさに分けてください」と頼めば手伝ってくれます。

04店の基本カードを作る ── ここが30分の本丸

次に、ChatGPTへ店を紹介します。立派な事業計画書ではありません。新しく入ったスタッフに「うちは、こういう店です」と説明する程度の情報を一枚にまとめたもの、それが店の基本カードです。

ノートに店の情報を書き出している手元と、隣に置かれたスマートフォン
全部埋まらなくていい。「強みが分からない」ならそこが空欄のままでいい

白紙から書くのが面倒なら、次の文章をそのまま送ってください。ChatGPTが一問ずつ質問して、カードを一緒に埋めてくれます。

コピーして使えます

これから、私の店の相談相手になってください。

最初に、私の店を理解するための
「店の基本カード」を一緒に作りたいです。

次の内容が分かるように質問してください。
・店の種類と地域
・店の規模と人数
・主な商品やサービスと価格帯
・主なお客様
・お客様から褒められること
・現在困っていること
・やりたくない販促や運営方法
・使える時間と予算

質問は必ず一問ずつ聞いてください。
私の答えが曖昧なときは、具体例を出して聞き直してください。
まだ解決策は出さないでください。

肝心なのは「一問ずつ」の指定です。質問を10個並べられると答えるだけで疲れますが、一問ずつなら接客の合間に進められます。答えは「駅から徒歩7分、住宅街です」「私一人で営業しています」程度の短文で十分。

できあがったカードは一度読み返して、ChatGPTが勝手に想像で足した部分がないか確認してください。「私が話していないことは推測で追加しないで。分からない項目は未確認と書いて」と頼むと確実です。

05最初の相談 ── 答えさせる前に、質問させる

基本カードができたら、選んでおいた「今週の悩み」を相談します。ここにもコツが一つ。いきなり案を出させず、先に質問してもらいます。

コピーして使えます

この店の基本カードを前提に相談します。

[今週の悩みをここに。例:火曜と水曜の14時から17時の予約を、
大きな値引きをせずに少し増やしたい]

いきなり解決策を出さず、
よい案を考えるために必要な質問を3つしてください。
質問は一問ずつお願いします。

私の回答後に、7日以内に試せる案を3つ、
「何をするか・なぜこの店に合うか・準備するもの・7日後に見る数字」
の形で出してください。

質問に答えるうちに、「そういえば平日午後は静かに過ごしたいお客様が多い」といった、店主だけが知っている事実が引き出されていきます。ChatGPTの役目は答えを当てることではなく、あなたの中にある情報を質問で引き出して、案の形に整えることです。

出てきた3案から一つ選び、「案1のGoogleマップ用のお知らせと店内カードの文章を作って」と続ければ、明日の営業で使える成果物まで進みます。文面の日時や価格は、公開前に必ず自分の目で確認してください。

06入れてはいけない情報 ── 3段階で見分ける

店のことを話す道具だからこそ、最初に線引きを覚えてください。目安は3段階です。

◯ そのまま相談してよい 店のサイトやSNSで公開済みの内容/業種・規模・商圏/店の考え方/匿名化した接客の例 △ 名前や金額を外してから 売上や原価/未公開の販促計画/お客様からの苦情(「40代の既存客から予約変更の相談」の形に) × 入力しない お客様・従業員の氏名や連絡先/顧客名簿・予約一覧の丸ごと貼り付け/パスワード・決済情報
迷ったら「この情報が外に出たら、お客様やスタッフが困るか」で判断する

覚えることは一つだけ。便利そうだから全部入れる、はしない。 詳しい安全な使い方は、このシリーズの後の記事で扱います。

0730分の時間割と、最初のゴール

  1. 最初の5分 ── 今週の悩みを一つ決める
  2. 次の10分 ── 一問ずつ答えて、店の基本カードを作る
  3. 次の5分 ── カードの内容を確認する(推測が混ざっていないか)
  4. 最後の10分 ── 3案から一つ選び、使える形まで作る

初日のゴールは、売上でもフォロワー数でもありません。「作ったものを、一つ実際に使ったか」。店内カード一枚でも、Googleマップのお知らせ一つでも、明日使えば前進です。案を10個出して一つも試さないより、一つ作って一つ使うほうが店は変わります。

08まとめ ── 今日の30分でやること

  • アプリを入れて無料登録する(提供元OpenAIを確認)
  • 今週の悩みを一つ、小さく決める
  • 「一問ずつ質問して」で店の基本カードを作る
  • 質問に答えてから、7日で試せる3案をもらう
  • 一つ選んで形にして、明日実際に使う

店の基本カードは、これから何度も使う出発点になります。集客を考えるときも、販促物を作るときも、始まりはいつも「うちは、こういう店です」から。次の記事では、この相談相手と一緒に、新しいお客様に見つけてもらう導線を作ります。

[1] 中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026年3月・全国の中小企業対象・有効回答1,647社、2026年7月確認)。AI導入率は20.4%(導入検討中18.6%)。導入済み企業(n=322)が利用するAIは生成AIが82.6%で最多。導入目的は「業務効率化/作業時間の短縮」が8割超。smrj.go.jp(調査結果ポイントPDF)

甲斐ショウジ

この記事を書いた人

甲斐ショウジ株式会社GMJ 代表取締役CTO兼CAIO

20年超のIT事業経験とGoogle関連事業での実績を基に、多数のAIシステムの開発を主導。AIとMEOで、小さなお店・中小企業の経営を強くする実践情報を発信しています。

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