「毎週見る数字は3〜5個に絞りましょう」── これはよく言われます。納得もできます。ただ、その次にほとんどの店主が止まります。
「で、うちは何を見ればいいの?」
この記事は、そこに答えます。先に結論を書くと、全業種に共通する万能の5項目はありません。商売が動く場所が業種で違うからです。業種別の型と、自店用に決める手順をまとめます。
この記事で分かること
- なぜ業種によって見る数字が変わるのか
- 業種別の型(飲食/小売/サロン・整体/教室)
- 自店の数字を選ぶ、3つの基準
- ChatGPTの使い方(決めさせるのではなく、候補を出させる)

01「3〜5個に絞る」の次に来る質問
数字を絞るのは正しい方針です。更新が追いつかない表は、結局だれも見なくなるからです。この原則は週次レビューの記事にまとめました。
問題はその先です。絞るのは分かった。では、何を残すのか。ここで手が止まり、結局「売上だけ」に戻ってしまう。売上だけでは、何を変えればいいかが見えません。
02万能の5項目がない理由 ── 商売の動く場所が違う
業種によって、利益が生まれる場所も、詰まる場所も違います。
| 業種 | 商売が動く場所 | だから見たい |
|---|---|---|
| 飲食店 | 席と時間が有限。同じ席を何回使えるか | 客数・回転・原価 |
| 小売店 | 在庫がお金に変わるまで時間がかかる | 買上点数・在庫 |
| サロン・整体院 | 予約枠が埋まるか、また来てくれるか | 予約枠の利用率・再来 |
| 教室・体験 | 体験から本申込へ移るか、続くか | 転換率・継続率 |

飲食店で「在庫回転」を毎週見ても、あまり動きません。小売店で「席の稼働」を見ることもできません。自分の商売がどこで動くかに合わせる。それだけのことです。
03業種別の型(そのまま使えます)
基本の4つに、店の課題に合わせた+1つを足す形にしています。合計5つまでです。
飲食店
- 売上
- 客数または組数
- 客単価
- 粗利額または食材原価率
- +1つ:廃棄額/提供時間/席の稼働 から1つ
小売店
- 売上
- 客数
- 客単価
- 1会計あたりの買上点数
- +1つ:粗利額/長期在庫額 から1つ
美容室・サロン・整体院
- 売上
- 予約枠の利用率
- 客単価
- 次回予約率または再来店率
- +1つ:キャンセル数/施術時間/粗利額 から1つ
教室・体験サービス
- 問い合わせ数
- 体験申込数
- 体験から本申込への割合
- 継続率
- +1つ:1回あたりの粗利または運営時間
この型は出発点です。そのまま使わなくてかまいません。大事なのは、次の見出しにある3つの基準で「自店で続けられるか」を確かめることです。
04選ぶ基準は、3つだけ
候補が多くて迷ったら、この3つで落とします。
- 毎週数えられるか
集計に1時間かかる数字は、必ず続きません。レジや予約表を見れば分かるものを優先します。 - 自分の行動で動かせるか
天気や景気は変えられません。並べ方・案内の仕方・予約の取り方で動く数字を選びます。 - お客様の動きに近いか
閲覧数より来店数、フォロワー数より予約数。お客様が実際に動いた結果に近いほど、判断に使えます。
3つとも満たす数字だけを残します。「大事そうだけど数えるのが大変」は、思い切って外してください。数字の失敗パターンはこちらの記事にまとめています。
05ChatGPTには「決めさせず、候補と理由を出させる」
ここでChatGPTを使いますが、決めるのは店主です。AIに「これを見なさい」と決めさせると、自店の事情に合わない数字が残ります。候補と理由を出させて、絞るのは自分でやります。
コピーして使えます
私の店で毎週確認する数字を、3つから5つに絞りたいです。 【店の情報】 ・店の種類: [例: 住宅街の雑貨店] ・今の課題: [例: 来店はあるが、売上が伸びない] ・今月試していること: [例: 用途別の組み合わせ展示] ・取得できる数字: [例: 売上、客数、販売点数、商品別売上、概算粗利] ・数字を集められる時間: 週に[ ]分まで 【出してほしいこと】 候補を5つ以内で提案してください。 各項目について、次を説明してください。 1. 何を知るための数字か 2. どの打ち手と関係するか 3. 集めるのに手間がかかるか(かかる場合は代わりの案) 【守ってほしいこと】 ・私が「取得できる数字」に挙げていないものを前提にしないでください ・業界の平均値や目標値を推測で書かないでください ・最後に、私が決めるべき判断点を質問してください
7つ挙がってきたら、遠慮なく減らします。更新に時間がかかる数字を毎週の表に入れないのが、続けるコツです。
06決めたら、3か月は変えない
最後に、いちばん大事なことです。決めた数字は、しばらく変えません。
毎週のように項目を入れ替えると、前の週と比べられなくなります。比較できない数字は、判断の材料になりません。
- 名前を固定する ── 「客数」なのか「組数」なのか、どちらかに決める
- 数え方を固定する ── 予約のキャンセルを含むのか、含まないのか
- 変えるときは記録する ── いつ、何を、なぜ変えたかを1行残す
3か月続けると、季節や曜日の影響も見えてきます。そこまで来て、初めて「増えた・減った」に意味が出ます。
07まとめ ── 続けられる数字だけが、経営の数字になる
- 万能の5項目はない ── 商売が動く場所は業種で違う
- 基本4つ+課題に合わせて1つ ── 業種別の型を出発点にする
- 3つの基準で落とす ── 毎週数えられる/自分で動かせる/お客様の動きに近い
- AIには候補を出させる ── 決めるのは店主
- 3か月は変えない ── 名前と数え方を固定しないと比べられない
週次レビューの回し方そのものはこちらの記事、業務改善の効果を測る指標は6つの数字の記事にまとめています。数字を「増やす」のではなく「選ぶ」という点では、どれも同じ考え方です。
今週やることは1つです。上の型から自店の業種を選び、4つ書き出してください。+1つは、今いちばん気になっていることから選べば十分です。
