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ChatGPTは間違える。それでも店の打ち手が増える ── 任せる範囲を決める7つの手順

ChatGPTは、存在しない情報を本当らしく答えることがあります。これは事実で、隠しようがありません。

ところが調査を見ると、生成AIを使っていない人が挙げる理由の中で「品質に不安がある」はわずか3.7%でした。多くの人が止まっているのは、不安の手前にある「使い方がわからない」のほうです。この記事では、間違えることを前提にしたまま店の仕事に使うための、任せる範囲の決め方と7つの手順を説明します。

この記事で分かること

  1. 「使っていない理由」の1位は不安ではない、という調査データ
  2. ChatGPTが間違える4つの型(店の例で)
  3. 丸投げにしないための7つの手順
  4. 任せてよい仕事と、必ず自分が見る仕事の線引き
閉店後のカウンターに並んだノートパソコンの下書き画面と、手書きの帳面
画面が出してきた案と、店に前からある記録。並べて初めて確認になる

01「使っていない理由」の1位は、不安ではなかった

総務省の「令和7年版 情報通信白書」に、テキスト生成AIを使っていない人へ理由を聞いた調査があります。日本の回答者783人の結果は次のとおりでした。[1]

テキスト生成AIサービスを利用しない理由(日本・複数回答・n=783) 自分の生活や業務に必要ない 40.4% 使い方がわからない 38.6% 魅力的なサービスがない 18.3% 利用環境が整っていない 8.9% 情報漏えい・安全性に不安がある 3.8% 品質に不安がある 3.7% 出典: 総務省「令和7年版 情報通信白書」図表I-1-2-9
止まっている場所は、品質への不安ではなく「使い方がわからない」だった

「品質に不安がある」は3.7%、「情報漏えい・セキュリティ・安全性に不安がある」は3.8%。合わせても1割に届きません。使わない理由の上位は「必要ない」40.4%と「使い方がわからない」38.6%でした。

間違いが知られていないわけではありません。同じ白書の別の調査では、「質問に対するAIの回答が事実ではない可能性があること」をリスクだと感じる人は62.2%います(「非常にリスクだと感じる」30.7%と「どちらかと言えばリスクだと感じる」31.5%の合計、回答者1,030人)。[2]

つまり、多くの人は間違えることを知ったうえで、それを理由に避けてはいない。必要なのは「使うな」でも「安心してください」でもなく、間違える前提での回し方です。

この調査は個人へのアンケートで、対象は店舗経営者に限りません。店の現場にそのまま当てはまるとは限らない点はご承知おきください。

02ChatGPTが間違える4つの型

やみくもに警戒しても手は止まるだけです。実際に起きる間違いは、店の仕事では次の4つに集まります。

1. 存在しない情報を、本当らしく答える

いちばん有名な間違いです。実在しない補助金の名前、実際には無い制度の締切、読んだことのない本の一節。文章として整っているので、知らない分野ほど見抜けません。数字と固有名詞が出てきたら疑う、という単純な習慣で大半は防げます。

2. 店の事情を誤解する

「駅前の飲食店」と伝えただけでは、席数も客単価も営業時間も知らないまま案が出てきます。深夜まで営業している前提の販促や、10人で回す前提のオペレーションが返ってくる。これは間違いというより、こちらが渡していない情報です。

3. きれいな文章だが、店らしくない

敬語も整っていて誤字もない、けれど自分の店では絶対に使わない言い回し。「厳選素材」「至福のひととき」のような、どの店でも成り立つ言葉が並びます。読んだお客様が違和感を持つのはここです。

4. 画像が実物と違う

生成した写真風の画像は、メニューの盛り付けも店内の作りも実物とは別物になります。実際の商品として見せると、景品表示法上の問題にもなりえます。画像は「イメージ」として使う範囲を決めておきます。

4つとも、共通しているのは出てきた後に人が見れば分かるという点です。だから手順の中に「見る」を組み込みます。

03丸投げにしない、7つの手順

ChatGPTに経営を任せるのではなく、店主が打てる手を増やし、試す速さを上げるために使う。そのための形が次の7つです。

案が出てから実行までの7つの手順 青=ChatGPTと一緒に進める/赤=店主が必ず自分で見る 1 課題を決める 何を直したいのか 2 店の情報を渡す 席数・客層・時間帯 3 案を出してもらう 3つ、優先順位つき 4 事実と店らしさを   確認する ここは人がやる 5 小さく実行する 1週間・1商品から 6 数字と反応を見る 来店数・売上・声 7 次の案を改善する 結果を伝えて回す 1周を1〜2週間で回す。7から1へ戻ると、渡せる情報が毎回増えていく
手順4だけは人が見る。ここを飛ばすと、間違いがそのまま店の外へ出る

この形の利点は、間違いが必ず手順4で止まることです。1回で完璧な案を出させる必要はなく、7へ進んだあと1へ戻るたびに、渡せる情報と判断材料が増えていきます。

04確認で見るのは、2つだけ

手順4の「確認」を細かくすると続きません。見るのは次の2軸に絞ります。

  • 事実か ── 数字、固有名詞、日付、制度の名前。ひとつでも出てきたら、公式サイトや手元の帳票で裏を取る。裏が取れないものは書かない、が原則です。
  • 店らしいか ── 自分が普段言わない言葉が入っていないか。うちではやらないと決めていることが混ざっていないか。声に出して読むと早く分かります。

この2つだけなら、A4一枚の案で2〜3分です。逆に、ここを「なんとなく良さそう」で通すと、後の手順がすべて崩れます。

入力してよい情報の線引き(お客様の名前や連絡先を入れてよいか)は別の記事で、SNS投稿などを公開する直前のチェックは公開前チェックの記事で扱っています。この記事は、案を受け取った直後の確認に絞っています。

05任せてよい仕事、必ず自分が見る仕事

毎回ゼロから迷わないよう、線を先に引いておきます。目安は「間違っていたとき、誰がどれだけ困るか」です。

机の上で二つに分けられた紙の束。左は下書きの束、右は価格表や在庫表に赤ペンで印が付いている
下書きは渡してよい束、数字の入った紙は自分で見る束
仕事 扱い 理由
お知らせやSNS投稿の下書き 任せてよい 間違っても公開前に直せる
長い文章の要約、言い換え 任せてよい 元の文が手元にあり突き合わせられる
アイデア出し、質問の整理 任せてよい 採否を決めるのは店主
手順書やマニュアルのたたき台 任せてよい 現場で直す前提で使う
価格、在庫、営業時間の記載 必ず自分で見る お客様との約束になる
食品表示、アレルギー、健康の話 必ず自分で見る 健康被害と法令に直結する
契約、労務、税務の判断 必ず自分で見る 専門家に確認すべき領域
特定の人への評価やお詫び 必ず自分で見る 相手の受け取り方が全て

この表は貼っておくだけで効きます。迷ったときに「どっちの束か」を考えれば済むからです。

06最初の1回に入れてみる質問

まだ使っていない方は、次の文をそのまま貼って、角括弧の中だけ自分の店に書き換えてください。いきなり答えを出させず、先に質問をさせるのがこの文の狙いです。

コピーして使えます

私は小さな[業種]を経営しています。
ChatGPTを経営改善に使いたいです。

いま悩んでいることは次のとおりです。

・[例:新しいお客様が増えない]
・[例:売上はあるが利益が残らない]
・[例:店の強みを言葉にできない]

いきなり解決策を出さず、
状況を理解するための質問を5つしてください。

私の回答後に、
7日以内に試せる改善策を優先順位付きで3つ提案してください。
お金が大きくかかる案は避けてください。

質問に答えると、今週試せる案が3つ返ってきます。そこで手順4に入ります。数字が入っていたら裏を取り、言い回しが店らしくなければ直す。そのうえで1つだけ実行します。

この一往復だけで、悩みを一人で抱えている状態から、状況を整理するための質問がある状態へ変わります。

07まとめ ── 任せるのは作業、決めるのは店主

ChatGPTは間違えます。存在しない情報を答え、店の事情を誤解し、店らしくない文章を書き、実物と違う画像を作ります。それでも打ち手が増えるのは、間違いが出てくる場所が決まっていて、人が見れば止められるからです。

  • 使っていない理由の上位は不安ではなく「使い方がわからない」(38.6%/品質への不安は3.7%)
  • 間違いは4つの型に集まる。数字と固有名詞が出たら疑う
  • 7つの手順で回し、手順4の確認だけは必ず人がやる
  • 確認で見るのは「事実か」「店らしいか」の2つだけ
  • 価格・在庫・健康・契約・人への評価は、最初から自分で見る束に入れる

決めるのは店主で、変わりません。増えるのは、決めるための材料と、試す回数です。

[1] 総務省「令和7年版 情報通信白書」図表I-1-2-9「テキスト生成AIサービスを利用しない理由」(2025年7月4日公表/2026年7月22日確認)。日本の回答者783人。公表データのCSVで数値を確認。https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd112210.html

[2] 総務省「令和7年版 情報通信白書」図表I-1-2-11「AI利用リスクに関する考え方」(2025年7月4日公表/2026年7月22日確認)。回答者1,030人。「質問に対するAIの回答が事実ではない可能性があること」に対し「非常にリスクだと感じる」30.7%、「どちらかと言えばリスクだと感じる」31.5%。https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd112210.html

甲斐ショウジ

この記事を書いた人

甲斐ショウジ株式会社GMJ 代表取締役CTO兼CAIO

20年超のIT事業経験とGoogle関連事業での実績を基に、多数のAIシステムの開発を主導。AIとMEOで、小さなお店・中小企業の経営を強くする実践情報を発信しています。

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