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ChatGPTを「店の相談相手」にする方法 ── プロンプトの勉強より、店の基本カードを1枚作る

「美容室の集客方法を教えて」と聞くと、割引キャンペーン・毎日のSNS投稿・紹介制度——どこかで見た一般論が並びます。原因はプロンプトの腕前ではありません。ChatGPTがあなたの店を知らないからです。上手な指示文を勉強するより先に、店を1枚で説明する「店の基本カード」を作る。それだけで、答えは「どこかの店の話」から「うちの店の話」に変わります。

この記事で分かること

  1. 一般論しか返ってこない本当の理由
  2. 「店の基本カード」の項目と、一問ずつ質問させて作る方法
  3. 勝手な想像(作話)をさせない確認のひと手間
  4. いきなり答えを求めず、先に質問してもらう相談の型
一人美容室の待合スペースで、店の基本カードを手書きしている店主の手元
事業計画書ではない。「新しいスタッフにうちを説明する程度」の1枚でいい

01一般論しか出ないのは、店を知らないから

多くの店主がここでつまずきます。国の調査でも、AI・IT導入にあたり「成功事例や活用事例などの情報が十分に入手できている」に当てはまらない中小企業が83.3%で最多、「従業員のITリテラシーが高い」に当てはまらないも77.6%でした。[1] つまり、みんな手本がないまま使い始めている。だからこそ、テクニックより先に「店の現実を伝える」という一番効く基本から始めるのが近道です。

「集客方法を教えて」だけ 割引キャンペーン 毎日のSNS投稿 紹介制度 → どこかで見た一般論。うちでは無理 +基本カード 基本カードを渡してから相談 一人営業=問い合わせ対応は少なく 値引きなし・毎日投稿なしの案 平日午後だけに絞った提案 →「うちの店の話」になる 変わったのはプロンプトの腕前ではなく、店の現実を伝えたかどうか
完璧な指示文は要らない。必要なのは店の情報

02「店の基本カード」の中身

基本カードは立派な事業計画書ではありません。新しく入ったスタッフに「うちは、こういう店です」と説明する程度の情報を1枚にしたものです。

【店の基本カード】

更新日:
店の種類:    場所・商圏:   店の規模・人数:
主な商品・サービス:  おおよその価格帯:
主なお客様:
お客様がよく褒めてくれること:
店が大切にしていること:
苦手なこと・困っていること:
文章や接客の雰囲気:
やりたくないこと:
今月いちばん改善したいこと:
使える時間・予算:

すべて埋めなくて構いません。「主なお客様がうまく言えない」「強みが分からない」——その空欄自体が大切な情報です。白紙が面倒なら、ChatGPT(対話型のAIサービス)に質問させながら一緒に埋めます。

コピーして使えます

これから、私の店の相談相手になってください。

最初に、私の店を理解するための
「店の基本カード」を一緒に作りたいです。

次の内容が分かるように質問してください。
・店の種類と地域 ・店の規模と人数
・主な商品やサービス ・価格帯 ・主なお客様
・お客様から褒められること
・店が大切にしていること ・現在困っていること
・やりたくない販促や運営方法 ・使える時間と予算

質問は一度に並べず、必ず一問ずつ聞いてください。
私の答えが曖昧なときは、具体例を出して聞き直してください。
まだ解決策は出さないでください。

コツは「一問ずつ聞いてください」の一行。質問を10個まとめて出されると答えるだけで疲れますが、一問ずつなら接客の合間に進められます。答えも「駅から徒歩7分。住宅街です」「私一人で営業しています」程度で十分です。

03美容室の実例 ── カード1枚で答えが変わる

住宅街の一人美容室の店主が質問に答えてできたカードです。

店の種類:一人で営業する美容室
場所・商圏:駅から徒歩8分の住宅街。近隣住民が中心
店の規模・人数:セット面2席。店主1人
主なサービス:カット、カラー、髪と頭皮の相談
価格帯:近隣の低価格店より高め
主なお客様:35〜55歳の女性。落ち着いて過ごしたい人
褒められること:話を急がず聞く。店内が静か。仕上がりが長持ち
大切にしていること:必要以上の施術や商品を勧めない
困っていること:火曜と水曜の14〜17時に空きが多い
やりたくないこと:大幅な値引き、派手な煽り、毎日のSNS投稿
今月改善したいこと:平日午後の予約を少し増やす
使える時間・予算:週に1時間。広告費は当面増やさない

これだけで、ChatGPTは「一人営業だから大量の問い合わせ対応は難しい」「値引きはしない」「毎日の投稿は続かない」を考慮して答えるようになります。変わったのは、店の現実を伝えたこと——それだけです。

美容室のカウンターに置かれた、記入済みの店の基本カード
基本カードは店主自身の資料でもある。「何を大切にし、何をやらないか」が1枚で見える

04勝手な想像をさせない ── 数分の確認

カードができたら、使う前に一度だけ確認します。ChatGPTは会話をまとめる途中で、話していない内容を補ってしまうことがあるからです。「住宅街の美容室」から「子育て中のお客様が多い」と想像するかもしれない——実際にそうならいいのですが、確認していないことを店の事実にしてはいけません。

コピーして使えます

ここまでの回答を、店の基本カードとして整理してください。

私が話していないことは推測で追加しないでください。
分からない項目は「未確認」と書いてください。

最後に、
・私が確認すべき内容
・情報が足りない内容
を分けて示してください。

この数分を省くと、その後の投稿文・販促案・求人文まで、間違った前提で作られます。逆にここを押さえれば、カードはシリーズ全体の土台になります。

05いきなり答えを求めず、先に質問してもらう

カードを渡したら、相談の始め方にもうひとつ型があります。「案を出して」の前に「質問して」です。

コピーして使えます

この店の基本カードを前提に相談します。

火曜と水曜の14時から17時の予約を、
大きな値引きをせずに少し増やしたいです。

いきなり解決策を出さず、
よい案を考えるために必要な質問を3つしてください。
質問は一問ずつお願いします。
カードを渡す店の前提を共有 質問させる案はまだ出させない 店主が答える店主だけが知る事実が出てくる 理解が深まる前提が固まる 案を出す7日で試せる形 「平日午後は静かに過ごしたいお客様が多い」——質問されて初めて出てくる事実がある ChatGPTに答えさせるより、考えるための質問を出してもらう
一人で考えると同じ角度からしか店を見られない。質問が角度を変えてくれる

「平日午後に来ているお客様の共通点は?」「その時間帯に向いている施術は?」——質問に答えるうちに、店主の中にしかなかった事実が言葉になります。ChatGPTの役割は、答えを当てることではなく、店主の中にある情報を質問で引き出すこと。だから「相談相手」なのです。

06まとめ ── 今週の30分でやること

  • 「一問ずつ聞いてください」のプロンプトで、基本カードを一緒に作る
  • 空欄はそのままでいい(空欄も店の情報)
  • 完成したら「推測で追加しない・未確認と書く」で整理させ、数分で確認する
  • 相談は「案を出して」の前に「質問を3つして」から始める
  • カードは月1回、更新日を変えて見直す

ChatGPTの始め方(アプリの入れ方・音声入力)は始め方の記事で解説しています。基本カードは、このシリーズの販促求人新サービス——あらゆる場面で最初に渡す土台。今週の30分で作る1枚が、この先ずっと効き続けます

[1] 独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」報告書 図36(2026年3月公表・2026年7月確認)。AI・IT導入にかかる社内の理解や情報量(単一回答)で、「成功事例や活用事例などの情報が十分に入手できている」に【当てはまらない】(あまり+全く)が83.3%で最も高く、「従業員のITリテラシーが高い」に当てはまらないは77.6%。回答企業の自己認識の集計であり、因果関係を断定するものではありません。smrj.go.jp/research_case/questionnaire/…/202603_AI_report.pdf

甲斐ショウジ

この記事を書いた人

甲斐ショウジ株式会社GMJ 代表取締役CTO兼CAIO

20年超のIT事業経験とGoogle関連事業での実績を基に、多数のAIシステムの開発を主導。AIとMEOで、小さなお店・中小企業の経営を強くする実践情報を発信しています。

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