集客を始めたら、メニューも直したくなる。画像を作ったら、ロゴも変えたくなる。新しいお客様が来たら、LINEも始めたくなる。
そのたびに計画を広げると、結局どれも公開できません。30日で店を変えるなら、「やること」を決める前に、やらないことを3つ決めます。この記事では、その決め方と、30日後の扱い方を説明します。
この記事で分かること
- 小さな店に、手を広げる余力が薄い理由(調査データ)
- 「やらないこと」を3つ書く方法と、その意味
- 横へ置くものを選ぶ3つの基準
- ChatGPTに制約を伝えて、案を増やしすぎない方法

01手を広げる余力は、思っているより薄い
「あれもこれも」と広げたくなるのは自然です。ただ、小さな店の足元の数字を見ると、広げて空振りする余裕は多くありません。
中小企業庁の「2025年版 小規模企業白書」によると、小規模企業の損益分岐点比率は95.8%でした。[1] 損益分岐点比率とは、売上高に対する損益分岐点売上高の比率で、白書の説明では「売上高が現在の何%未満の水準になると赤字になるか」=売上減少への耐性を示す指標です。
しかも、やるべきことは山ほどあります。同じ白書では、小規模事業者が現在取り組んでいる経営課題として「受注・販売の拡大」が最も多く約4割、次いで「人材確保」「価格転嫁」と続き、それ以外の課題も2割以下で数多く並んでいます。[1]
やることは無数にあり、失敗を吸収する余力は薄い。だから、選ばなければ全部が中途半端になります。
損益分岐点比率は企業規模別の平均値で、個々の店の数字ではありません。自店の実際の数字は、売上と費用から計算してください。白書の「小規模企業」という区分に基づく統計です。
02「やらないこと」を3つ書く
30日計画を立てたら、最初に書くのはこれです。
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今回やらないこと: - 店全体のブランド変更 - 全商品の撮り直し - 有料広告の開始
紙でもメモアプリでも構いません。大事なのは、3つに絞って、目に見える場所に書くことです。頭の中に置くと、忙しい日に必ず溶けます。
そして、ここが肝心です。やらないことは、捨てることではありません。30日後に判断するため、いったん横へ置くだけです。

03横へ置くものの選び方
どれを外すか迷ったら、次の3つに当てはまるものから外します。
- お金が大きくかかる ── 有料広告、内装、機材。効果が読めないうちに固定費を増やさない
- 戻すのが難しい ── ロゴ変更、店名変更、価格の大幅改定。やり直しに時間と信用がかかる
- 30日では結果が出ない ── ブランド構築、採用、常連づくり。大事だが、この30日の判断材料にならない
逆に言えば、30日で試すのは「お金が小さく・戻せて・結果が見える」ものです。この基準で選ぶと、迷いが減ります。
集客そのもので恒常的に避けることは別の記事にまとめています。あちらは「ずっとやらない5つ」、この記事は「30日だけ横へ置く3つ」です。目的も期間も違います。
04ChatGPTにも、制約を伝える
制約を伝えないと、ChatGPTは良かれと思って案を増やします。「SNSも始めましょう」「ロゴも新しくしては」と、計画を膨らませる方向に働きます。
だから、相談の最初に制約を渡します。
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これから30日間の改善計画を一緒に考えてください。 先に制約を伝えます。この範囲を超える提案はしないでください。 【今回やること(1つだけ)】 ・[例:平日午後の新規来店を増やす] 【今回やらないこと(提案しないでください)】 ・店全体のブランド変更 ・全商品の撮り直し ・有料広告の開始 【使える資源】 ・作業時間:1日15分 ・追加の費用:[例:5,000円まで/なし] ・担当できる人:店主だけ この条件で、30日間の計画を作ってください。 案は増やさず、やることは1つに保ってください。 制約に反する案が浮かんだ場合は、実行せずに 「30日後に検討する候補」として最後に列挙するだけにしてください。
最後の1文が効きます。ChatGPTが思いついた案を消してしまうのではなく、「30日後の候補」として別枠に置かせる。こうすると、良いアイデアを失わずに、今の計画は膨らみません。
0530日後に、横へ置いたものを見直す
30日が終わったら、横へ置いた3つを、もう一度見ます。ここまでが「やらないことを決める」の全体です。
- 今回の結果を見て、やはり必要だと分かったもの → 次の30日の候補にする
- 試した結果、そもそも要らなかったと分かったもの → 正式に外す
- 判断がつかないもの → もう一度、次の30日も横へ置く
横へ置いた日と、見直す日をカレンダーに書いておくと、忘れずに戻ってこられます。
06まとめ ── 決めるのは、やることより先にやらないこと
- 余力は薄い ── 小規模企業の損益分岐点比率95.8%。売上が4%強落ちれば赤字
- 課題は多い ── 受注・販売の拡大が約4割、ほかも多数。選ばなければ中途半端になる
- やらないことを3つ書く ── 目に見える場所に。頭の中では溶ける
- 基準は3つ ── お金が大きい/戻せない/30日で結果が出ない
- 捨てずに横へ置く ── 30日後に見直す日を決めておく
30日計画の全体像は別の記事にあります。やることを1つに絞れないときは、やらないことから決めてください。そのほうが、早く決まります。
[1] 中小企業庁「2025年版 小規模企業白書」第1節(2026年7月24日確認)。第2-1-8図より、小規模企業の損益分岐点比率は95.8%で、大企業・中規模企業と比較して高く、売上高の減少に対する耐性が低い。損益分岐点比率は売上高に対する損益分岐点売上高の比率で、売上高が現在の何%未満の水準になると赤字になるかを表す。第2-1-9図より、小規模事業者が現在取り組んでいる経営課題は「受注・販売の拡大」が最も高く約4割、次いで「人材確保」「価格転嫁」で、他の経営課題の回答割合は2割以下。いずれも企業規模別の統計であり、個々の店舗の数字ではない。https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/shokibo/b2_1_1.html
